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さまざまなもの

▲新聞の音読

文字情報を声に出して読めば、大脳の「前頭前野」という部分が活性化し、考える力、コミュニケーション力、記憶力、創造力、自立する力、感情を抑制する力が活性化。文章は毎日違うものがよく、一日10分。または2分~5分でも毎日続ける音読がもっとも効果的とのこと。
毎日宅配される新聞の音読は、無理なく続けられるいちばん身近なトレーニング法。
皆さんもさっそくはじめてみてはいかがですか。

 



 新聞の音読

10分で「能力」アップ



1.川島先生からひとこと

「誰でも、今からでも、頭はもっとよくなります」

テレビやパソコンなどのIT機器が、暮らしを便利にしてくれた反面、私たちは頭を使わなくなっています。新聞を読まなくても、テレビやインターネットが情報を与えてくれるし、漢字は書かなくてもパソコンが変換してくれます。しかし、頭も体と同じように、使わないと衰えていきます。普段から積極的に頭を使って、脳を鍛えることが必要なのです。
「音読」は、子供はもちろん、ほとんどすべての人に効果があることが、私たちの実験で明らかになっています。例えば健康な成人で、もっと「能力アップ」したい人や、物忘れが多い「脳の老化」が気になる人、さらに「認知症」と診断された人などです。
実際に読み上げる教材としては、私はよく「新聞」をおすすめしています。新聞なら毎日読む人が多いので、あとはただ声に出して読むだけ。新聞を毎日音読して、「能力」アップを目指してください。

川島隆太(かわしまりゅうた)

東北大学教授 医学博士
1959年千葉県生まれ。
東北大学医学部卒業。同大学院医学研究科終了。
東北大学講師等を経て現職。
脳のどの部分に、どのような働きがあるかを調査する「ブレインイメージ研究」の一人者。


2.新聞記事を音読してみよう

新聞音読トレーニングの基本的な約束ごと

▼ 音読は脳をとてもよく働かせてくれるので、毎日10分間、集中して読めばそれで十分です。
▼ できる限り速い速度で読み続けましょう。音読スピードが速いほど脳もより活発に働いてくれます。
▼ 声は大きくても小さくてもかまいません。ただし、必ずきちんと声に出して読むことが大切です。
▼ 継続は力なり。まずは、2ヶ月間を目標に、毎日「音読」してみましょう。
▼ 音読によって前頭前野(頭の前の方にある「脳の中枢」)が鍛えられます。

作業別、脳の活動範囲  赤い部分は、脳がよく働いているところ

▲一生懸命 考えている時

▲テレビを見ている時

▲音読をしている時
最も「赤」の部分が大きい


3.こんなに能力がアップした

実際に音読することで、どのくらい頭がよくなるのでしょうか?
ここでは、小学生から高齢者まで、さまざまな年代を対象とした実験をご紹介しましょう。小学生は記憶力テストの成績が上がり、認知症の高齢者は病気が改善した、という驚くような結果が出ています。

小学生の記憶力がアップ

小学生10人に、用意した単語を2分間でいくつ記憶できるか検査したところ、平均して8.3語覚えることができました。次に、2分間「音読トレーニング」させたあとにテストをすると、平均して10.1語の言葉を覚えることができたのです。音読によって、脳の記憶にかかわる前頭前野のウオーミングアップが行われて、普段以上の力が発揮できたと考えられます。

大人の記憶力も10歳若返った

健康な大人にも実験してみました。平均年齢48歳の人、9人に、1~2分で読める物語を毎日、声に出して読み上げてもらい、これを1ヶ月間続けました。音読トレーニング後、「ひらがな言葉、記憶テスト」(P8参照)を行ったところ、トレーニング前には平均10個しか思い出せたかったのが、トレーニング後は平均14個思い出すことができるようになりました。約1.4倍、記憶力がアップしたことになります。ちなみに、トレーニングをしていない39歳の平均が12個なので、約10歳若い人よりも記憶力がよくなっていると考えられます。

認知症の症状も改善される

アルツハイマー型の認知症患者16名を対象にした次のような実験結果もあります。音読と文字を書くトレーニングを約10分、簡単な計算問題を解くトレーニングを約10分、1週間に2~5日、半年間やってもらいました。
その結果、トレーニングをしなかったグループ(対照群)は、認知機能、前頭葉機能、どちらも半年間でさらに下がりました。一方、トレーニングした人たちは、認知機能は維持し、前頭葉機能は上がったと報告されています。認知機能とは、理解したり、判断する力のこと。前頭葉機能とは、行動を抑制したり、言葉を作り出す力のことです。


4.朝の「新聞」が一番

音読トレーニングするなら、朝の「新聞」が一番
声に出して読み上げさえすれば、どんな文章でも、基本的には効果があります。でも、大人が無理なく継続できて、より高い効果を狙いたいなら新聞が一番です。そのワケと、「新聞トレーニング」の効果を最大限にあげるコツをご紹介します。

新聞がおすすめな3つの理由

新聞が格好の教材となるのは、新聞の特徴である、「新しい情報を毎日家まで届けてくれる」という点にあります。新聞をそのまま教材に使えば、新たな出費もないのでおすすめです。

理由1 継続しやすい
音読トレーニングの効果を十分に上げるためには、継続して行うことが必要です。すでに新聞を毎日読む習慣のある人なら、それを声に出して読むだけでOK。無理なく継続しやすいというメリットがあります。

理由2 毎日、新情報が読める
脳は、新しい刺激が入ってくると、喜んでよく働いてくれる、という性質があります。そのため、同じ本をくり返して音読するよりも、毎日、違った内容の文章を音読したほうがより活発に働きます。新聞なら、わざわざ買いに行かなくても、毎日新鮮な文字情報を自宅まで届けてくれるので大変便利です。

理由3 話題が増えて会話もはずむ
人と会話をしているときも、脳の広い範囲が使われて、能力アップに効果があります。新聞は会話のきっかけとなる話題を増やすには格好の材料。特に音読していると、黙読するよりも記憶に残りやすく、自然に話題も増えていきます。


5.効果を高める4つのポイント

 

「新聞トレーニング」の効果を高める4つのポイント

なぜ音読するなら午前中がいいのか、朝食を食べてからの方がいいのか、と疑問に思う人もいるかもしれません。でも、どれも科学的根拠に基づいたもの。効率よくトレーニングをして、最大の効果を上げるために、4つのポイントを押さえておきましょう。

ポイント1 好きな欄を読む
脳は楽しいことが好きなので、新聞の中でも自分が興味のある欄を音読すると、より活発に働いてくれます。また、脳は新しい刺激に対してもよく働くので、いつもはあまり読まない欄を音読するのも効果的。このときも嫌々でなく、「興味を持って読む」とより効果的です。

ポイント2 朝刊を午前中に読む
新聞は、夜、音読するよりも、午前中に音読するほうがおすすめです。頭がよく働くのは午前中だからです。これは、人間の体に刻まれている「生体リズム」と関係があります。生体リズムによると、脳が最もよく働くのは就寝時から約10時間後。11時に寝れば午前9時ごろです。そこをピークに少しずつ下がっていき、夜にはあまり働かなくなります。そのため「音読するなら午前中」というわけです。

ポイント3 朝食を食べてから音読
脳を働かせる唯一の栄養源はブドウ糖。しかし、脳はこのブドウ糖を蓄えておくことができないため、目覚めた朝の脳は腹ペコ状態です。せっかく音読するなら、ブドウ糖をしっかりとって、脳に栄養を補給してから行ったほうが効率的なのです。ブドウ糖は、炭水化物が分解してできるため、炭水化物の多い食品、ご飯やパン、果物などを朝食にとるとよいでしょう。

ポイント4 「週末ごとの脳チェック」をする
「トレーニング前の前頭葉テスト」は、現在の脳の働きを調べるテストですが、「週末ごとの脳チェック」としても利用できます。一週間でどのくらい変わったか、このテストで調べてみましょう。チェックすることで、やる気も上がり、継続しやすくなるはずです。

生体リズムは午前中が高い
朝食のおすすめ食品

6.脳のメカニズムから分析

音読トレーニングで”能力”が上がる理由

音読は脳の広い範囲を活発に働かせますが、脳をよく働かせることが、どうして能力アップにつながるのでしょうか?そもそも音読が他の日常的な作業に比べて脳をよく働かせるのはなぜでしょうか?音読が脳に与える影響を徹底分析してみましょう。

脳の交通網が整備される
脳の中では、1000億個ともいわれる神経細胞がそれぞれ突起を伸ばして、他の神経細胞と網目のようにつながっています(下図の下)。これを神経ネットワークと呼んでいます。脳が働いているときは、このネットワーク内を情報が行き来しています。行き来する必要があるのは、下図の上のように脳内ではそれぞれの仕事を行う場所が細かく分かれていて、互いの情報を交換することで、はじめて問題を解決したり、行動するための指令を出すことができるからです。「音読」して、脳の広範囲をいつも活発に働かせていると、ネットワーク内の情報が前よりも盛んに行き来するようになります。脳はよく利用されているネットワークの網目を増やしたり、太くして、交通網を整備します。その結果、脳内の情報はより流れやすくなり、脳の働きもよくなるというわけです。

司令塔「前頭前野」も活発化
このネットワーク内の情報を統合しているのが「前頭前野」です。例えば視覚野で見たり、視覚野で聞いた情報を統合し、どう処理すればいいのか判断します。記憶する必要があれば、蓄えろと命令し、記憶したものをどのように使うか決めるのも前頭前野の仕事です。音読は、この脳の中枢、前頭前野を特に活発に働かせるため、能力アップに大きく貢献しているのです。

音読が遺伝子を刺激する?
音読がなぜこれだけ脳をよく働かせるのか、実はまだよくわかっていません。ヒトが今のような人間になったのは、ひとつにはコミュニケーションのために「言葉」を使うようになったことがあげられます。これが遺伝子に刻まれていて、音読という、言葉に触れ、言葉を発する作業に出あうと、脳が勝手に反応して、よく働き出すのではないかと考えられています。

脳のメカニズムから分析

毎日、音読をする

脳のさまざまな場所が動く


情報の流れがよくなる


「脳力」がアップする!


7.あなたの脳力をチェック

音読トレーニングの前に

前頭葉テストで脳力をチェック
まず、脳の中でも特に重要な「前頭葉の働き」が、現在どのくらいのレベルにあるか調べておきましょう。トレーニングを始めてからも、週末ごとにこのテストをやって、比べます。最初のころよりもだんだん速くなり、思い出す単語数は増えていくはずです。

はじめる前に
・「前頭葉テスト」はどれもトレーニング前に1回だけ行います。
・テストでは時間を計るため、秒単位まで計れる時計を用意しておきましょう。
用紙は「PDF」形式で作成されています。ダウンロードして、印刷してお使い下さい。

▶前頭葉テスト③用紙 (カラーで印刷)

簡単な計算をできるだけ速く!

計算トレーニングもおすすめ
脳力をアップするためには、難しい計算問題を解くほうが効果的なように思えますが、実際はその逆。小学校程度の簡単な問題をスラスラ解くほうが脳の広い範囲を活発に働かせることがわかりました。

新聞の音読と一緒に、計算トレーニングもお試し下さい。

*Acrobat Reader のダウンロード

「PDF」および「Acrobat Reader」の利用方法については、Adobe Systems(アドビ・システムズ社)の説明のページをご覧ください。


8.「講演会」新聞記事

平成18年6月8日 信濃毎日新聞 29面
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 新聞の音読で

子どもの「脳力」を伸ばす



1.みんなの脳はいま成長期

 

 体が成長期にあるときは、とくに栄養や運動など、毎日の生活に注意することが大切です。 脳の場合も、まったく同じことが言えます。かしこい脳をつくるためには、脳が成長期にあるときに生活に注意して、きちんと育ててやらなければなりません。

脳の成長期は、赤ちゃん時代から思春期にかけての時期にあたります。このころに、脳がどんな「栄養」をとって、どんな「運動」をしたかによって記憶力やものを作り出す創造力、感情や欲望を抑える自制力などの「脳力」がちがってくるのです。

脳にとって「栄養」や「運動」にあたるのが、ここでおすすめしている音読です。 文章を声に出して読むと、脳の中でもっとも大切な「前頭前野」という部分が活発に働きます。毎日、音読を続ければ、前頭前野がきたえられて「脳力」を高める効果があると考えられます。

音読を毎日の習慣にするためには、新聞を利用するのがもっとも効率的です。朝、とどけられた新聞を声に出して読めば、それだけで脳のトレーニングになります。社会のニュースを知ることもできるので、ぜひ新聞の音読を朝の日課にしてください。

最近は、パソコンやコンピューターゲームなどを利用することが多くなって、前頭前野をあまり使わなくなっています。脳が成長期にある皆さんには、新聞の音読でどんどん前頭前野を使って、「脳力」を伸ばしていただきたいと思います。

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川島隆太(かわしまりゅうた) 東北大学教授 医学博士
1959年千葉県生まれ。 東北大学医学部卒業。
同大学院医学研究科終了。 東北大学講師等を経て現職。
脳のどの部分に、どのような働きがあるかを調査する「ブレインイメージ研究」の一人者。
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新聞の音読でどんどんきたえよう!

こんな人におすすめ
  • 勉強ができるようになりたい
  • 勉強ができるようになりたい
  • 創造性のある人になりたい
  • 記憶力をよくしたい
  • 怒りっぽい性格を直したい
  • やる気をだしたい
  • 人とうまくつきあいたい
  • 応用力をつけたい
今日から音読トレーニングを始めよう

音読を続けると脳が鍛えられるので、さまざまな効果が期待できます。学習面で伸びるだけでなく、 ものを作りだしたり、気持ちをコントロールしたりする「脳力」もアップすると考えられています。


 2.脳の発達は子供のときに決まる!?

 

生まれたばかりの赤ちゃんの脳はとても小さいのですが、これがぐんぐん大きくなって、おとなの脳に成長します。とくに重要な脳の成長期が、幼児期と思春期です。
脳が超スピードで成長する時期

脳がいちばん成長するのは、生まれてからの3年間。この間に脳の重さは3倍近くにも増加します。
その後、脳の発達スピードはゆるやかになりますが、小学校の高学年になると、第2の成長期がやってきます。 10~11歳ころから、また急激に成長するようになって、この状態が20歳ころまで続き、おとなの脳ができあがるのです。
脳の発達では、赤ちゃんのときから思春期までがとても大切なことがよくわかりますね。だからこそ、とくにこの時期は、遊びや勉強、家族とのふれあいなど、いろいろな経験を通して、脳をきたえることが大切なのです。

子どもの脳、おとなの脳

子どもの脳はおとなと比べると、神経線維がよく発達していません。そのため、脳の神経細胞から出された情報がうまく伝わらないのではないかと考えられています。

お父さん、お母さんへ
「読み聞かせ」が脳を育てる

子どもの脳が成長していく過程で、とても重要なのが親子のコミュニケーションです。赤ちゃんは親と「話す」「聞く」というコミュニケーションをとることで、言葉を身につけていきます。また、お父さんやお母さんとのふれあいによって、赤ちゃんの脳は発達すると考えられています。

本誌では、脳をきたえるために音読をお勧めしていますが、まだ文章を読めないお子さんにはぜひ本の「読み聞かせ」を行ってください。話し言葉を「聞く」という効果だけでなく、読み聞かせを通じて親とコミュニケーションをとることは、子どもの脳を活性化させるのに役立ちます。


 3.「頭がよい人」の脳はここがちがう

 

頭を「よくしたい」と思ったら、脳のここに注目してください。それは「前頭前野」と呼ばれる部分。ここをきたえて、じょうずに使うことが、頭の「よさ」につながります。
脳のなかでもいちばん大事な場所

 人間と動物の脳を比べたときに、多く着違うのは、おでこの後ろにある「前頭葉」の中の「前頭前野」と呼ばれる場所です。人間の前頭前野は大脳の中の約30%もしめていますが、動物の中でもっとも大きいチンパンジーなどでも7~10%くらいしかありません。
前頭前野は記憶や学習などをコントロールしているところで、ものを考えたり判断したりするときに働きます。脳はコンピューターのようだとよく言われますが、前頭前野は「コンピューターの中のコンピューター」といえるくらい、大切なところなのです。 ですから、「頭がよい人」は、この前頭前野が発達していると考えられます。

前頭前野は「キレる」のを防ぐ?

 前頭前野は「頭のよさ」だけでなく、創造性や感情のコントロールなどでも重要な働きをしています。ですから、新しいものを作り出したり、発想を豊かにしたりするためにも、前頭前野をきたえることが役立ちます。また、腹が立ったときやおもしろくないことがあったときなど、前頭前野のはたらきが悪いと、怒りやイライラをおさえることがむずかしくなります。 前頭前野をきたえることは、「キレる」のを防ぐためにも効果があると考えられます。

脳のなかはどうなってる?
左脳と右脳

肺や腎臓のように、脳も2つあります。左脳と右脳のはたらきはどこがちがうのか、詳しいことはまだよくわかっていません。

前頭前野はここにある

大脳には「前頭葉」「側頭葉」「頭頂葉」「後頭葉」という4つの部屋があり、それぞれちがう役目をもっています。 前頭前野はおでこの後ろにある前頭葉の一部です。


4.音読しているときの脳はフル回転!

記憶や学習、感情をコントロールする前頭前野。ここをきたえるのに効果的なのが「音読」です。文章を声に出して読むと、前頭前野が活発にはたらくことがわかりました。

テレビを見ているとき前頭前野は休んでいる

 テレビを見たり、コンピューターゲームをしたりすると、いろいろな情報が入ってくるので、脳が刺激されて活発に働くように思いませんか。でも、実際には、脳のごく一部だけを使っていて、前頭前野はあまり使っていないことがわかりました。

それに対し、音読しているときは、前頭前野を始め、脳のいろいろな場所が活発に働きます。下の図を見ると、その違いがよくわかりますね。テレビやコンピューターゲームで遊ぶ時間が長いと、前頭前野がなまけて、よくはたらかなくなるかもしれないので気をつけましょう。

音読を続けると記憶力がアップする

音読が脳に与える効果は、「単語記憶力テスト」でも確かめられました。このテストは、用意した単語を2分間でどれだけ覚えられるか、小学生10人にためしてもらったものです。(下のグラフ)  音読を続けたあとにテストすると、単語の記憶力がふだんより20%以上もアップしていました。  これは、音読によって前頭前野がウォーミングアップして、いつもよりかっぱつにはたらいたからだと考えられます。 毎日、音読を続ければ、前頭前野の働きはもっともっとよくなる可能性があるのです。

何もしないで記憶できる単語の数と、2分間の音読トレーニングをした後に記憶できる単語の数を比べてみました。音読をした後のほうが2語近く多く覚えられました。

脳のどこがはたらいている?

いろいろなことをしているとき、脳のどこがはたらいているのかをしらべてみました。
赤い部分が脳のなかでも活発にはたらいているところです。

音読しているとき

新聞や本を読むとき、声を出して読むか出さないで読むかで、脳のはたらきがちがいます。音読しているときは、前頭前野をはじめ、いろいろなところがはたらいていることがわかります。

声を出さないで読んでいるとき

前頭前野など、いろいろなところがはたらいています。でも、音読しているときと比べると、赤い部分がかなり少なくなっています。

考えごとをしているとき

脳をいっぱいはたらかせているように思いますが、ほんの少ししかはたらいていないことがわかりました。

テレビを見ているとき

よくはたらいているのは、ものを見るときにはたらく後頭葉、音を聞くときにはたらく側頭葉です。そのほかのところはほとんどはたらいていません。

コンピューターゲームをしているとき

ものを見るときにはたらく後頭葉や手指の運動をコントロールしたり、見た情報を処理したりする部分が活発です。前頭前野はほとんどはたらいていません。


5. 新聞を音読して前頭前野をきたえよう

音読で前頭前野をきたえるには、新聞を利用するのがいちばん。毎朝、新聞を10分間、声に出して読む習慣をつけて、脳のはたらきをアップさせましょう。
新聞の音読効果をあげる5つのポイント
▶10分間、続けて音読する

音読する時間は、1日10分間くらいで十分です。学校の勉強だけでなく、塾や習いごとなどで、毎日いそがしいようですが、10分間でいいのですから、無理しないでもできると思います。

▶できるだけ早く音読する

音読のスピードは速いほうが、脳のはたらきが活発になります。最初はゆっくりしかできなくても、だんだん早く音読できるようになります。声は小さくてもいいのですが、かならず、きちんと声に出して読みましょう。

おもしろいと思える記事を選ぶ

新聞を音読するなら、おもしろそうに思える記事を選びましょう。脳は楽しいことをすると、はたらきがよくなります。楽しみながら音読すれば、脳も元気になってくれるはずです。

いつもとちがう記事も読む

いつも同じページだけを音読するのではく、時々は、あまり読まないようなところも音読してみましょう。新しいことを知ることによって、脳は元気になります。知識もふえるので、勉強にも役立ちます。

なるべく午前中に音読する

脳のはたらきが最もよくなるのは、眠ってから約10時間後。夜の9時に寝たとすると、朝の7時です。そのあとは、だんだんはたらきがわるくなるので、午前中に音読するのがいちばんです。

新聞の音読ならずっと長続きする

音読で脳をきたえるためには、ずっと続けることがもっとも大切です。新聞は毎日、家にとどけてくれるので,これを音読に使えば、自然に長続きすると思います。
毎朝、新聞を開くときは、「きょうはどんな記事がのっているのかな?」とちょっとワクワクしませんか。新聞の音読なら、毎日新しい情報にふれることができるので、好奇心をもって楽しみながら脳のトレーニングをすることができます。
毎日、新聞を読んでいる人なら、ただ声を出すようにするだけでいいのです。5つのポイントを参考にして、あしたの朝から、さっそく音読を始めてみましょう!

英語の音読もおすすめ

日本人である私たちが英語の文章を音読するときは、言葉の意味や文章の仕組みなどを考えることが多くなります。そのため、日本語の音読よりも、前頭前野をはじめ、脳の広い部分を使うことがわかりました。
これからは海外の人たちと付き合う機会がもっと増えて、英語を勉強することがより大切になってきます。英語はいま世界共通の言葉ともいえるので、英語ができるようになれば、いろいろな国の人と話すことができます。
テストのために、仕方なく勉強するのではなく、将来、ちがう国の人と気持ちを伝えあうことができるように、前向きに勉強したいですね。 そのときはぜひ音読をとり入れてみましょう。英語の勉強になるうえに、脳のはたらきを高めるのにも役立ちます。

お父さん、お母さんへ

朝ごはんを食べて脳に栄養を!

私たちは肉や魚、野菜などの食べ物からタンパク質やビタミンなどの栄養をとっています。その栄養をもとに生命を保ち、体の機能を維持しています。
脳の場合はちょっと変わっています。栄養になるのは、ただひとつ「ブドウ糖」だけ。これは、ごはんやパンなどに多くふくまれる炭水化物が分解されたものです。
脳はブドウ糖をためて置けないため、朝、起きたときは栄養不足の状態で、はたらきが低下しています。朝食ね気では、学校に行っても授業が頭に入ってきません。朝はかならず炭水化物の多いごはんやパン、果物などの食事をとるようにしましょう。
新聞を音読する場合も、朝食後のほうがおすすめです。脳に栄養をあたえて、活発にはたらくようになったところで音読するようにしましょう。


6. こんな勉強が脳をきたえる

音読以外にも脳のはたらきを浴する勉強法があります。それは「漢字の書き取り」と「簡単な計算」です。理由は、どちらも脳の広い範囲をよく使うからです。
漢字を書いて、覚えて、脳力アップ

私たちは子どものときから漢字を習っています。この漢字の勉強をしているときも、実は知らず知らずのうちに、脳をきたえているのです。でも、ただ読んでいるだけではあまり効果がありません。書き取りをしながら覚えるのがポイントです。

書きながら覚えているときは、脳の広い範囲がよくはたらいています。とくに脳のなかでもっとも大切なはたらきをする「前頭前野」の後ろ側がよく活動していることがわかります。(図1)

また、漢字を覚えるのも、脳がよくはたらいているときのほうが頭にスッと入ってきます。ただ見て覚えるだけでなく、書き取りしながら行うとよいでしょう。

図1 漢字を書いて、覚えているときの脳

赤い部分がよくはたらいている範囲

簡単な計算を、速く解くのがコツ

 簡単な計算を速く解いているときも、音読のように、前頭前野をはじめ、左右の脳の多くの場所がよくはたらいています。(図2)

この理由は、人間にとって、数字を使うことが、とても程度の高い大切な作業のため、考えたり、判断する重要な「前頭前野」がよく使われるのではないかと考えられています。

計算を解くときは、ゆっくりよりも速くと解くほうが、脳はよくはたらくことがわかっています。また、むずかしい計算よりも簡単な計算のほうが、脳をきたえるためにはよいのです。むずかしい計算は、左脳の前頭前野はよく使いますが、右脳はまったく使わないからです。

図2 簡単な計算を早く解いているときの脳

赤い部分がよくはたらいている範囲

頭がよくなる計算ドリル

 実際に、簡単な計算問題を速く解いてみましょう。簡単すぎると思うかもしれませんが、この問題で十分に効果があります。小学生だけでなく中・高生も、おとなも、問題を解いているときは、10ページの脳の図のように、広い範囲を活発に働かせているはずです。

始める前に

1.まず、問題を紙でかくし、1問ずつ問題を出してから、解く。
2.答えは頭の中に浮かべば、それでOK。書かなくてもよい。
3.1問を約2秒で解くようにする。
こちら】からダウンロードできます。


7. こんな遊びが脳を元気にする

 

脳のはたらきをよくするのは、音読や書き取り、計算などの勉強だけではありません。
しりとりやままごとなど、遊びのなかにも脳をきたえるものがたくさんあります。
カギは言葉と会話とつくりだすこと

「しりとり」をしているときの脳を調べたところ、前頭前夜を中心に、脳が非常に活発にはたらいていることがわかりました。しりとりをするとき、私たちはまず言葉を考え出し、その言葉を発し、相手もまた新しい言葉を伝えてきます。 私たちはそれを受けて、また新しい言葉を考えだします。このように言葉をつくりだし、人と会話をしながらコミュニケーションをとる遊びには、脳をきたえる高い効果があります。

同じように、ままごとなどの「ごっこ遊び」も、言葉を使い、自分で物語をつくりだし、相手とコミュニケーションをとりながら遊ぶため、脳をいっぱい使っていると考えられます。

また、言葉だけでなく、何かをつくりだすために手を使っているときも、脳はとてもよくはたらきます。たとえば「料理」は、ものを作り出す創造力をはたらかせながら、手をいっぱい使っています。「料理」をしているときは脳がいっぱいはたらいています。

また、絵を描いたり、折り紙遊び、模型飛行機作りなどの工作、ピアノやリコーダーなどの楽器を演奏しているときも、脳は活発にはたらいていると考えられます。

前頭前野をはたらかせる遊び

 

さまざまなもの