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は行ま行や行ら行わ行

【あいさ】 『間(あいだ)』のこと。
「本のあいさに挟んだ」「道のあいさに家が建つ」というような使い方をします。
【あがる】 『食べる』こと。
食事に招待して「たんとあがってくれや」などといった使い方をします。テーブルなどに上がる意味とは違います。
【あだじゃねえ】 『容易ではないこと、大変なこと』の意味。
「夕方までにその仕事を全部済ますんじゃ、あだじゃねえね」といった使い方をします。
【あっこ】 『あそこ』のこと。
道を聞かれて、「あっこの角を曲がって3軒目」などといった使い方をします。
【あてずっぽ】 『でたらめ』の意味。
「あてずっぽ言ってないでまじめに答えてよ」というような使い方をします。
【あばな】 『さよなら、バイバイ』のこと。
「あばね」とも言います。永遠の別れではなく、日常の軽い別れ文句。学校帰りに「じゃ、また。あばなー」というような使い方をします。
【ありご】 昆虫の『蟻』のこと。
「〇〇こ」という表現は東北弁に多く見られますが、「〇〇ご」と濁るのは信州独特のようです。ちなみに標準語的なものに「ありんこ」というのがあります。
【あれする】 便利な代名詞(代動詞?)。
「あれがなにしたんだってよ」、「これとそれをあれしておいて」というような使い方をします。「あれ」が何を指すのか理解できないと何の事かさっぱりわかりません。
【あんね】 娘のこと 日記を書いた少女ではない
「山田さんちのあんねは、東大へ入ったそうだじ」という使い方をします。
【あんべえ】『からだや物事のぐあい』『都合』『あんばい(塩梅)』のこと
「今日は、どうもあんべえ、わりいなあ」は、「きょうは、どうもからだの調子がよくないなあ」という意味になります。
【あんまてんこ】 かたぐるま
 使用例 祖父と孫が遊ぶのを見て母親が「美代ちゃんいいねー。じいちゃんにあんまてんこしてもらって」
-い-
【いーからかん】 『でたらめ』という意味。
「い」ではなく「え」に聞こえることもあり(中間の発音?)。「いーからかんなこと言ってないでまじめに答えてや」などといった使い方をします。
【行かず】 『行きましょう』の意味。
相手を誘いながら「さあ一緒に行かず」といった使い方をします。
【いがっぽい】 食べ物が『どことなく苦い、苦っぽい』という感じを表現した言葉です。
例えば、「この栗はなんだかいがっぽい」などといった使い方をします。
【いくらか】 『少し』『若干』の意味
例えば、お見舞の人に様態をたずねられたような場合に、「おかげさまで、いくらか、いいわねぇ」というような言い方をして、「おかげさまで、少し、具合がいいようです」と表現します。
【いけっちゃ】 『行け~』のこと。
邪魔者に向かって、「あっちへ行けっちゃ。しっ、しっ」というような使い方をします。
【いけんね・いけね】 「いけない」「だめ(駄目)」と物事や行動を禁止する言葉
「そんなことしちゃ、いけんよ」「そんなことしちゃ、いけねえじ」のような言い方をします。
【いごく・いのく】 『動く』『移動する』こと
「毛虫が、葉っぱの上でもぞもぞと、いごいてるぞ」、「車が坂道をゆっくりといのいてる」というような使い方をします。
【いざる】 『ずれる』こと
たくさんの人が集まっている畳の部屋などで、立ち上がらず席を詰めて空けてもらう時などに「悪いけんど、ちょっと、いざっとくれや」というような言い方をします。
【いじむさい】 『意地きたない』こと
また「食い意地が張っている」という意味にも使われます。標準語の「意地悪」と同じように、名詞形は「いじむさ」となります。
【いただきました】 『ごちそうさまでした』の意味。
食事の後や、他所の家でご馳走になった後などに感謝の意味を込めて使います。
【いっからかげん】 『いい加減に』という意味。
借金の取り立て屋が「いっからかげん、払ってくれやー」、子供がいつまでも遊んでいるとき「いっからかげんにしてけーるじー」というような使い方をします。
【いのくる】 『落書きをする』こと。
「橋の下にいのくりに行こうぜ!」などという使い方をしますが、いのくりは犯罪行為です。
【いびんつ】 『形が悪い』という意味。
農村で「このトマト、いびんつだねー」などという使い方をします。  
【いまにか】 『もうすぐ』という意味。
おじいちゃんが孫に「電車がいまにか来るじー」というような使い方をします。
【いんびつ】 『形がゆがんでいる』『いびつ』のこと
「この茶わん、なんだか、いんびつだね」というような言い方をします。
-う-
【うつかる】 『寄りかかる』の意味。
「壁にうつかる」といった使い方です。「うっつかる」という言い方もします。
【うとんぼ】 『中身がカラ。虚ろ』のこと。
「このスイカうとんぽだいね」などという使い方をします。
【うめる】 『お湯に水を加える』ということ。
手の放せない主婦が「お父さん、お風呂をうめといて」というような使い方をします。間違っても土をかけないように。
【うんとこさ】 『たくさん』ということ。
「旅先でうんとこさうめーもん食ってきただ」などという使い方をします。
【うんまい】 『うまい。おいしい』という意味。
「うんまいなー。このリンゴ」などという使い方をします。
-え-
【えーかん】 『たくさん』の意味。
久しぶりに会った友人に「この前会ってから、えーかんぶりだいね」などという使い方をします。
【えーべゃ】 『いいだろう』の意味。
上司が部下に「ごくろうさん、もう帰ってもえーべゃ」というような使い方をします。
【えらい】 『すごい、大変』という意味。
大雪の日などの来客に「大変だったでしょう」のニュアンスで、「えらかったねー」「えらかっつらー」と言ったりします。【てきない】に似ています。「偉い」「立派な」とは意味が異なります。
【えんましょ】 『行きましょう』あるいは『行ったほうがいいですよ』の意味。
時に語尾に「や」が付いて、相手を誘うニュアンスを込める。「一緒に東京にいきましょや」といった使い方をします。
-お-
【おいしさそう】 食べ物が『美味しそう』の意味。
なぜか途中に「さ」が入ります。「さ」を入れることで気持ちを強調しているととも考えられます。
【おいでて】 『来ていただいて』『越しいただいて』のこと
「遠いところ、おいでて、どうもどうも」というような言い方をして、「遠いところ、お出でいただいて、どうもありがとうございます」の意味を表します。
【おくりや】 『「ください』のこと
「それ、おくりや」と言ったら、「それ、頂戴」とか、「それ取ってください」の意味になります。標準語の「送る」「贈る」からきていると思われます。最後の「や」を取って、「おくり」とだけいう場合があります。
【おけ】 『やめろ』の意味。
「おきましょ」「おけっちゃ」などとも言います。何かをやろうとしている人に向かって「やめておきなさい」といった意味です。
【おしきせ】 『晩酌』のこと
標準語で食器を載せる角盆のことを「折敷(おしき)」と言いますが、ここから来ているのでしょうか。
【おぞい】 『古い、悪い』の意味。または『見てくれが悪い』こと。
賞味期限の切れた食品を食べようとする孫に「そんなおぞいものやめとけ」、「このクツ、おどいねえ」などという使い方をします。
【おちょべたれる】 『ごまをする』という意味。
「おちょべたれたって駄目せ」などという使い方をします。
【おつかいでございます】 『こんばんわ』というあいさつの言葉です。
夕方から夜にかけて、人と会ったときや他所の家を訪ねるときなどに使います。「おつかい」は今日も一日「お疲れ」さまでした、あるいは何かの用事で「お遣い」に参りましたという両方の意味にとれます。
【おつくべ】 『正座』のこと。
「ちゃんとおつくべして、背筋を伸ばして話を聞きなさい」といった使い方をします。「おつんべこ」とも言います。
【おっさま】 『和尚さん』または『年輩の男性』をさす言葉。
おそらく「おじさま」からきたのでしょう。仲間に「ばっさま」「かかさ」などがあります。「法事でおっさまをクルマで迎えに行く」といった使い方をします。
【おっぽ】 『しっぽ』のこと。
「魚のおっぽ、のんのさまにあげといて」というような使い方をします。
【おでさま】 『お金持ち』『裕福な人』のことを指します。
標準語で「お大尽さま」が短く変化したものと思われます。
【おてしょ】 食卓で使う『小さな取り皿』のこと。
おそらくは手塩皿(てしおざら)が語源だと思われます。広辞苑にものっている言葉なのでお国言葉とはいえないかも知れませんが、「~ござんす」などとともに、古くからの言葉が永く残っているのも山々に囲まれた信州ならではなのかも知れません。
【おな】 『野沢菜、野沢菜漬』のこと。
「おなっぱ」「なっぱ」ともいいます。
【おはずけ】 信州の特産品のひとつ『野沢菜漬け』のこと。
地域によっては「おな」とか「なっぱ」とも言います。
【おめさま】 『あなた様』のこと。
相手のことを敬って呼びかける時に使います。「おめさま、何かい」というような言い方です。「お前」を「おめ」と略す言い方は、「お前たち」を意味する「おめた」と同じです。
【おめた】 『お前たち』という意味。
「おめたの人生はな~、おめたが決めるんだじ」と叱咤激励された方も多いでしょう。
【おらあっち】 『わたしたち』のこと。
おそらく「俺たち」からきたのでしょう。似たものに【おらんち】というのがあり、こちらは「私の家」のことです。
【おらほ】 『俺、自分』のこと。
村の集会の場所を決める際、「おらほの家に集まってや」というような使い方をします。
【おらとこ】 『自分の家』のこと。
社員食堂で「おらとこじゃ、今朝、ネズミが出たでー」などという使い方をします。「おらんち」も同じ意味です。
【おんじょ】 『子供がだだをこねるさま。わがまま』の意味。
グズつく子供に向かって、「おんじょこくでねー」などという使い方をします。