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は行ま行や行ら行わ行

【さ】 『さん』のこと。
名前のあとにつけられる「~さん」のこと。呼びかけよりも会話の中で登場します。たとえば井戸端会議で「山本さと山口さのうちに泥棒が入ったそうだわー」などと言います。
【さきっちょ】 『棒状物の先端』のこと。
「包丁のさきっちょでカギこじ開けたそうだわ」などという使い方をします。
【ささらほうさら】 『めちゃくちゃ』なこと。
荒れ果てた庭を指し「おらんちの庭はささらほうさらだわ」、仕事の苦情殺到に「ささらほうさらで何から手をつけていいかわかんねー」などという使い方をします。
【さぶい】 『寒い』 
確かに寒いときは「む」より「ぶ」の方が言いやすい。「今日は零下十度だって。あぁ、さぶい、さぶい」という使い方をします。
【~さら】 『それごともってきてくれ』の意味。
「それさら、もってこい」という言い方をします。
【さんざ】 「さんざん(散々)」が転じて、「長時間、何かをし続けて、へきへきした」状態をいいます。
「朝からこの仕事ばっかりで、もうさんざだ」というような言い方をします。また「もう、おさんざかい」というような使い方もあります。
-し-
【したじ】 配ぜんされた料理の『汁もの』をこう呼ぶことがあります。味噌汁もそのひとつです。
「したじ」は標準語で「しょうゆ」の意味もありますが、あるいは料理などの「仕出し」が訛って変化したものかもしれません。
【しつら】 『しただろ?』の意味。
取調室で刑事が「お前が泥棒しつら?」などという使い方をします。
【〇〇しておくんなんしょ】 『〇〇してくださいね』
 使用例 「ごちそうができたで。さあ、食べておくんなんしょ」
【~しとくれや】 『~してください』『~してくれませんか』
「早くしとくれや」は「早くしてください」の意味になります。また「し」を他の動詞にかえて、「行っとくれや」は「行ってください」、「やめとくれや」は「やめてください」というようにも使います。
【しなくれる】 『ひからびる』こと。
野菜等が干からびてくる様子を言います。
【しみる】 『気候が冷える』あるいは『モノが凍る、凍っている』状態を表します。
「今日は、しみるねぇ」などといった使い方をします。
【しゃっちょこばる】 『きんちょうしている』『おすまししている』
「そんなに、しゃっちょこばらなんで、こっちに来いや」「この写真、ずいぶんしゃっちょこばって写ってるね」という使い方をします。
【しゃべくる】 『話す』こと。
仕事中、お喋りに夢中になりすぎると「しゃべくってばっかいねーで仕事やれ!」などと注意されます。
【しゃらすげぇ】 『とてもすごい』こと。
「しゃら」は後に続く言葉をより強調する意味を持ち、他のパターンに「しゃらひでぇ」「しゃらうるせぇ」などがあります。
【じゃん】 『~しましょう』と人を誘う時に使います。
例えば「行くじゃん」といった時は、「行きましょう」という意味です。
【しょう】 『みなさん』というニュアンス。
おそらく『衆(しゅう)』が変化したものでしょう。祭りの主催者が「近所のしょう誘ってみんなで来てや」などという使い方をします。男のしょうは「おとこしょ」、女のしょうは「おんなしょ」と略されることもあります。
【じょうる】 『(家畜を)殺す』こと。
【しょっかまる】 『つかまる、つかまえる』こと。
「しょっつかまる」とも言います。「昨日警察にしょっかまってせぇ」となどという使い方をします。
【しょまむ】 『つかむ』こと。
「この漬物ちょっとしょまんでみましょ」というような使い方をします。
【しらばっくれる】 『知らん顔する、知らないふりをする』こと。
「エレベーターでおならをしたけど、しらばっくれちゃった」などというような使い方をします。
-す-
【すか】 『ない(打ち消しの言葉)』こと。
同じ意味で「すけ」「っこ」というのもあります。年配者が多く使うのは「そんなことやらすけ!」、若者は「そんなことやりっこぉ!」など。どちらも「そんなことやるわけない!」という意味です。
【ずく】 『根気や気力、やる気』のこと。
「こたつに入ってばかりいないで少しはずくをだせ」といった使い方をします。また【ずくなし】は『怠け者』のことを指し、「あいつはずくなしだ」といった言い方をします。
【~ずら】 これは信州のお国言葉の決定版ともいえるものです。
「~ずら」と断定的に言ったり、あるいは「~ずらぁ」と語尾を上げて、相手に訊ねたり、確認をとったりするときに使います。また「ず」を省略して「~ら」と言って推測の意味で使うこともあります。とにかくこの「ずら」は頻繁に登場して、使われる場合、場面でいろんな微妙なニュアンスを持つとても面白い言葉です。また、「ず」を省略して「やるら?」(やるでしょ?)のように言ったり、勢いよく「~ずらぃ?」ということもあります。
【ずんずん行く】 『まっすぐ行く』
「この道を、ずんずん行くと農協があるでさ、そこで売ってるよ」という使い方をします。
-せ-
【~せ】 『~です』
断定を少し強調したニュアンスを持たせます。「そうせ」と言ったら、「そうですよ」という意味です。 また、「そうせぇ」というように、語尾をのばした場合には、「もちろん、そうですよ」といったニュアンスが加わります。
【せいせい】 「すっかり、やってしまった」という意味。
「せいせい、やっちまったよ」というような言い方をして、になります。ただし「とうとう」「ついに」「うっかりと」というようなニュアンスが含まれており、結果があまり良くなかった時に多く使われるようです。
【~せぇ】 「~でね」と似た感覚。
『それでせぇ』『こうなってせぇ』というように、音節ごとに相手を納得させるような感じで使います。また、「〇〇クンせぇ」と相手を呼びかける時にも使います。
【せーのでもって】 『いち、にー、さん、ハイ(かけ声)』の意味。
じゃんけんで「最初はグー」の代わりに、「せーのでもって」で始めます。
【せっぺせっぺ】 『一生懸命』の意味。社長が従業員に「せっぺせっぺ働けよ~」とゲキを飛ばします。
-そ-
【そいで】 『それで』の意味。
話の続きを話す間に「そいでねー」「そいでせー」などという使い方をします。
【そうじゃあるめぇ】 『そうじゃないだろう』の意味。江戸っ子言葉の流れをくんでいるのでしょうか。
【そうじゃんか】 『そうじゃないか!』の意味。
【そうかやー】 『そうかなー?』の意味。
【そうさやー】 『そうだよ』の意味。
「そうせぇ」とも言います。
【そうだじ・そうせ】 『そうですね。』「~じ」は今でもよく使われている。
 使用例 居酒屋の会計での会話 A「今日はヤマちゃのおごりの番だじ」B「うん、そうせ」C「ああ、そうだじ」ヤマ「・・・うん」
【そしゃあ】 『それでは』『じゃあ』
「そしゃあ、始めましょうや」と言ったら、それでは「始めましょう」の意味になります。また、相手の発言を受けて、「そういうことならば」という意味でも使われます。
【そぜえる】 『愚図る』『だだをこねる』こと。
「おい、ぞぜえてるじゃねえぞ」と言ったら、「おい、ぐずぐずいってるんじゃないよ」という意味になります。